最近読んだ本(58)――東野圭吾『疾風ロンド』
スキー場が舞台の話。以前読んだ『白銀ジャック』は、「ゲレンデに爆弾を埋めた」とスキー場を脅迫するという事件だったが、今作は恐ろしい細菌を雪山に埋め、それをネタにある研究所を脅迫するという内容。
その生物兵器にもなりうる細菌は秘密裏に開発されたもので、警察に届けて事を大きくする訳にも行かない。手がかりは犯人から送られて来た木に吊らされたテディベアのぬいぐるみの写真だけ。細菌はそのぬいぐるみが目印の木の下に埋められているという。場所を知りたければ3億円を、と要求してくる。ところが犯人は、後の連絡をする前に事故死してしまう。写真を手がかりに細菌を探しに行くのは、中学生の息子を持つ中年の研究所員。
果てさてどうなることかとワクワクさせられるかと思いきや……。本の裏表紙に「ハラハラが止まらない」とあったが、これが全くハラハラしない。ドキドキもしない。脅迫の材料に使われるものが生物兵器という恐ろしいもので、ひとつ間違えればとんでもない事態になるにも関わらず、話は全くといっていいほど緊張感のないまま進んで行く。そしてこれは、どちらかと言えばユーモア小説か。
ユーモア小説と言ってもそんなに笑えない。また爽快感もない。ましてや読む前にハラハラドキドキを期待した私は些かがっかりだった。どんな本にしても読み手によって感想は様々だろうが、好きで多くの話を読ませてもらっている東野圭吾信者の私であっても、はっきり言ってつまらぬ作品だったというのが私の感想。
ユーモア小説に徹するならば、恐ろしい細菌などという重い物を持ち出さないでいて欲しかった。笑えない品物と笑えるキャラクターのギャップから来る違和感を最後まで拭えなかった。最後のオチもほぼ想像できたし、途中で東野氏らしい伏線だとか、凝った展開はあるものの、それもヒネリの弱いものであった。
だいたい字が大きく、私のように視力の衰えた年寄りには優しいが、結果的にページ数の割にはそれほど長い話でもなくあっけなく読み終えてしまった。ま、それは出版社のことで作者には関係なかったか。
東野氏のユーモア感たっぷりの小説と言えば、『浪花少年探偵団』というのが氏の初期の作品にある(以前テレビドラマ化されました。多部未華子ちゃん可愛いかったです。……関係ないか)が、そちらの方が今作より全然痛快だった。
ただ、先の『白銀ジャック』にも登場したスキー場のパトロール隊員と女性スノーボーダーが再び活躍する内容だったので、これは加賀恭一郎シリーズ、ガリレオシリーズに継ぐシリーズ化されるかも知れないと思った。ただ、ユーモア路線で行くのであれば、『浪花少年探偵団』のような痛快感、爽快感を求めたい。そうでないなら、ユーモアを排除して『白銀ジャック』以上のハラハラドキドキ感を期待する。
『白銀ジャック』は、今夏渡辺謙主演で映像化されるらしい。どういったものになるか想像の域を出ないが、まあまあ見応えのあるものになるであろう。しかし今作『疾風ロンド』は、映像になってもつまらないものになりかねないので、制作者等にもしその考えがあるのならお止めなさいと言いたい。
今作は、軽く暇つぶしに読むには手頃だが、それだけのものだった。ホントがっかりだった。
その生物兵器にもなりうる細菌は秘密裏に開発されたもので、警察に届けて事を大きくする訳にも行かない。手がかりは犯人から送られて来た木に吊らされたテディベアのぬいぐるみの写真だけ。細菌はそのぬいぐるみが目印の木の下に埋められているという。場所を知りたければ3億円を、と要求してくる。ところが犯人は、後の連絡をする前に事故死してしまう。写真を手がかりに細菌を探しに行くのは、中学生の息子を持つ中年の研究所員。
果てさてどうなることかとワクワクさせられるかと思いきや……。本の裏表紙に「ハラハラが止まらない」とあったが、これが全くハラハラしない。ドキドキもしない。脅迫の材料に使われるものが生物兵器という恐ろしいもので、ひとつ間違えればとんでもない事態になるにも関わらず、話は全くといっていいほど緊張感のないまま進んで行く。そしてこれは、どちらかと言えばユーモア小説か。
ユーモア小説と言ってもそんなに笑えない。また爽快感もない。ましてや読む前にハラハラドキドキを期待した私は些かがっかりだった。どんな本にしても読み手によって感想は様々だろうが、好きで多くの話を読ませてもらっている東野圭吾信者の私であっても、はっきり言ってつまらぬ作品だったというのが私の感想。
ユーモア小説に徹するならば、恐ろしい細菌などという重い物を持ち出さないでいて欲しかった。笑えない品物と笑えるキャラクターのギャップから来る違和感を最後まで拭えなかった。最後のオチもほぼ想像できたし、途中で東野氏らしい伏線だとか、凝った展開はあるものの、それもヒネリの弱いものであった。
だいたい字が大きく、私のように視力の衰えた年寄りには優しいが、結果的にページ数の割にはそれほど長い話でもなくあっけなく読み終えてしまった。ま、それは出版社のことで作者には関係なかったか。
東野氏のユーモア感たっぷりの小説と言えば、『浪花少年探偵団』というのが氏の初期の作品にある(以前テレビドラマ化されました。多部未華子ちゃん可愛いかったです。……関係ないか)が、そちらの方が今作より全然痛快だった。
ただ、先の『白銀ジャック』にも登場したスキー場のパトロール隊員と女性スノーボーダーが再び活躍する内容だったので、これは加賀恭一郎シリーズ、ガリレオシリーズに継ぐシリーズ化されるかも知れないと思った。ただ、ユーモア路線で行くのであれば、『浪花少年探偵団』のような痛快感、爽快感を求めたい。そうでないなら、ユーモアを排除して『白銀ジャック』以上のハラハラドキドキ感を期待する。
『白銀ジャック』は、今夏渡辺謙主演で映像化されるらしい。どういったものになるか想像の域を出ないが、まあまあ見応えのあるものになるであろう。しかし今作『疾風ロンド』は、映像になってもつまらないものになりかねないので、制作者等にもしその考えがあるのならお止めなさいと言いたい。
今作は、軽く暇つぶしに読むには手頃だが、それだけのものだった。ホントがっかりだった。


この記事へのコメント
トラックバックさせていただきました。
この記事にトラックバックいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。
こちらもトラックバックさせていただきます。